不倫慰謝料の相場と金額を左右する要因
1 不倫慰謝料の相場
不倫の慰謝料の相場は、数十万円~300万円程度が一般的です。
ただし、夫婦が離婚に至ったかどうか、不倫の期間や回数、婚姻期間など個別の事情によって金額は変動します。
それではどのような事情があると慰謝料額の算定に影響があるのでしょうか。
2 不倫慰謝料の相場を左右する要素
いくつかに場合分けすることができますので、それに沿って検討します。
⑴ 夫婦の身分関係
慰謝料請求をする人とその配偶者の年齢、婚姻期間、夫婦間の子の有無、子の年齢など
婚姻期間が長いほど不倫慰謝料の増額事由となり得ます。
複数の裁判例を見ますと約15年の婚姻期間は長期と判示されていますが、3年以下の婚姻期間ですと短期と判示されています。
また子がいないよりもいた方が、この年齢が幼児であるほど慰謝料は増額の傾向にあります。
⑵ 夫婦関係の円満さ
慰謝料請求をする人とその配偶者の夫婦関係が円満だったか、事実上破綻していたか、破綻とまでは言えないけれども相当冷却していたか(例えば家庭内別居)、既に別居していたかなど。
不倫開始時に夫婦関係が不仲ですと不倫慰謝料の減額要素となり得ます。そして夫婦関係が決定的に破綻していた場合には不倫相手に不倫慰謝料請求をすることができなくなる可能性もあります。
(但し、裁判実務上では夫婦関係が破綻していたと認定されるのは極めてまれなケースです。)
⑶ 不貞行為開始の経緯
配偶者と不倫相手の関係、配偶者と不倫相手のどちらが積極的に言い寄ってきたかなど。
不倫相手の方が配偶者に言い寄ってきたなど、不倫関係に積極性や主導的だったというような場合は不倫慰謝料の増額事由となり得ます。
これに対して、配偶者と不倫相手の関係が会社の上司と部下というような関係の場合、会社での立場上、部下は不倫関係を断れなかったという点が考慮され、不倫相手に対する慰謝料は減額される可能性があります。
⑷ 不貞行為の悪質さ
不倫の期間や回数、不倫相手からの謝罪、不倫発覚後直ちに不倫関係を解消したのか、不倫関係を続けたのかなど。
不倫の期間が長く、回数が多い方が不倫慰謝料の増額事由になり得ます。複数の裁判例を見ますと半年程度で長期と判示している裁判例があります。
また不倫が発覚しても不倫相手からの謝罪はなく、不倫相手が不倫関係を継続していた場合には増額事由になり得ます。
⑸ 不倫が夫婦関係に与えた影響
不倫が原因で離婚した場合は増額事由となり得ます。
⑹ 請求される側の収入や資産などの支払い能力、社会的地位
かつては不倫慰謝料を請求される側(不倫相手)の学歴や職業、社会的地位に注目して、増額事由とされていた裁判例も散見されました。
しかしながら、近時の裁判例では当事者の収入、社会的地位、学歴などは慰謝料算定の要素には入れていないことが多い傾向にあります。
これは社会的地位のある者とそうでない者が行う不倫には何ら違いはないはずであり、資産の有無によって不倫慰謝料が増額したり減額したりすることはおかしい、という理由です。
上記⑴から⑹でいくつかの要素を挙げましたが、全てが同列ではなく優劣があります。
特に上記⑸の夫婦が離婚したか否かが不倫慰謝料の相場を左右する大きなウエートを占めます。
3 増額事由、減額事由を拾い上げる重要性
上記のような増額事由、減額事由により不倫の慰謝料額は増減します。
不倫慰謝料を請求する側は増額事由を、請求された側は減額事由をそれぞれきちんと拾い上げることができるかが重要なポイントになります。
そのためには専門の弁護士に相談して、適切なアドバイスやサポートを受けることが必須です。
不倫慰謝料を請求する側はもちろんですが、請求された側も当法人にご相談ください。
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